アゼライン酸とは?
アゼライン酸(Azelaic acid)とは、大麦や小麦などの穀物や酵母に含まれる有機化合物飽和ジカルボン酸のことです。
海外では美白・ニキビ治療などとして多く使用されている成分ですが、日本でも最近少しずつ認知が進み、日本製の配合化粧品も出てくるようになりました。酒さに対する改善も報告されています。
アゼライン酸は、副作用のリスクが少ない天然由来の成分で、胎児に対する悪影響や副作用もないと確認されています。
アゼライン酸の歴史
アゼライン酸は、海外で30年以上使用されている成分です。世界約80か国でニキビ治療薬として承認されています。 日本でも近年、大手製薬会社がアゼライン配合化粧品を販売したことなどもあり、注目されるようになってきています。
アゼライン酸の効果
毛穴のつまり除去:ピーリング作用があり、余分な角質を取り除きます。
皮脂分泌のコントロール:皮脂腺縮小効果があり、ニキビの原因ともなる過剰な皮脂分泌を抑える作用があります。
抗菌作用(アクネ菌の抑制):毛穴で増殖するアクネ菌などを殺菌し、その増殖を抑えます。
美白効果:メラニン生成抑制効果と色素沈着改善効果があります。
抗酸化作用:活性酸素を除去し、ニキビ・肌荒れを予防し、炎症の悪化を防ぎます。
酒さの改善:原因不明の顔が慢性的に赤くなる皮膚炎の改善に効果が認められています。
アゼライン酸の副作用
アゼライン酸は天然由来の成分であることから、刺激が少なく安全性の高い成分です。そのため、長期的な使用も可能です。
アゼライン酸を使用し始めると、ピリピリとした痛み、かゆみ、乾燥、熱感などが見られる方もいますが、そのまま使用を続けていくと1~2週間で症状がおさまることがほとんどです。
これらの症状が気になる場合は、1回の使用量を減らしたり、2日に1回の使用にするなどの調節で落ち着きます。
また、即効性のある成分ではなく、継続していくことで効果を実感していく成分のため、2~3か月の継続使用が推奨されます。
アゼライン酸とニキビ・酒さ治療
ニキビ(尋常性ざ瘡)とは、思春期以降に顔面・胸背部に発症する慢性的な炎症性疾患のことをいいます。皮脂の分泌異常・角化異常・細菌の増殖によって生じます。
アゼライン酸には皮脂腺の活動を抑えたり、角化異常を抑制する作用があるため、ニキビの予防や改善に効果を発揮します。さらに、アゼライン酸には抗炎症作用や抗菌作用もあるため、アクネ菌の増殖やそれによる炎症を予防する効果も期待できます。
また、ニキビによる皮膚の炎症が長引くとメラノサイトが活動的になり、メラニンが大量に作られます。その結果、褐色の色素沈着(ニキビ跡)が生じます。アゼライン酸はメラニンの生成を抑える作用があるため、色素沈着の予防と改善に効果が期待できます。
日本の保険診療におけるニキビ治療は、抗菌薬の内服・外用、過酸化ベンゾイル製剤(ベピオ、デュアック)、アダパレン(ディフェリン)を使用したものが主です。これらの治療法は、炎症の強いときに短期的に使用されることが多いものです。
アゼライン酸はマイルドではあるものの長期的に使用し続けても安全なこと、炎症後の色素沈着や悪化予防にも使用できるということが上記の治療法との違いで、併用したり使い分けることでニキビで悩む人々のQOL向上が期待できます。
また、治療が難しいとされる酒さに関しても有効性が認められています。
1型:紅斑血管拡張型、赤くてポッポするタイプ
2型:ブツブツがあって赤くなっているタイプ
3型:鼻がデコボコする、毛穴が目立つタイプ
酒さの分類で上記のうち1型・2型に効果があったと報告されています。(2型に関しては保険診療でアゼライン酸の外用も認められています)
アゼライン酸と美白治療
美白治療ですと、レーザー・IPL(フォトフェイシャル)等の医療機器を使用したもの、ハイドロキノン(トレチノインを併用する場合もある)を皮膚に直接塗布するものが医療機関(自費診療)でよく見られます。
アゼライン酸は比較的刺激が少なく長期的な継続使用も可能のため、ハイドロキノンが使用できない方、または他の治療との併用や維持・予防としての使用が期待できます。 また、白斑などの白抜けの危険性もありません。
また、アゼライン酸は低濃度のレチノールとの併用ができるため、その相互作用も期待できます。
アゼライン酸を取り入れるには?
現在、日本ではアゼライン酸は化粧品の成分として使用が認められています。主には、化粧水・美容液の成分で使用されます。皮脂のコントロール、毛穴つまりの改善、酒さの改善等を期待するため、油分の含まれない化粧品に含まれます。ピーリング作用があるため、ヒアルロン酸・セラミドとの保湿成分との相性が良いのも特徴です。
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よくある質問
Q. アゼライン酸はどんな方に効果がありますか?
A. ニキビ・ニキビ跡、酒さ、毛穴詰まり、しみ・くすみが気になる方に効果が期待できます。
Q. アゼライン酸に副作用はありますか?
A. 治療を始めて1~2週間は赤み、かゆみ、ひりつき、乾燥が一時的に生じる可能性があります。症状が強い場合は、1回の使用量を減らしたり、使用を1日おきにして調節できます。
Q. アゼライン酸は病院で処方できますか?
A. 日本においては、現在自費診療の処方になります。主にドクターズコスメなどの化粧品としてご使用いただけます。
Q. アゼライン酸を使用してどのくらいで効果がでますか?
A. 継続して使用することによって効果がわかる成分です。2~3か月程度は継続して使用することが必要です。
Q. アゼライン酸は妊娠中・授乳中は使用できますか?
A. アゼライン酸の成分自体は、妊娠中・授乳中でもご使用可能です。